みんキチVol.33│たった一人に寄り添うために紡ぐ。言葉と絵が掛け合わされたあたたかな力。

ことば絵作家
新井理玖さん
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1999年岐阜県生まれ。
12歳の頃に初めて筆をとる。
個展「12歳のことば絵展」を開催。 
目の前の人を見てパッと浮かぶメッセージと挿絵を色紙に表現する「ことば絵」を届け続けている。これまでの色紙の数は約2万枚以上。
2018年 高校卒業と同時に岐阜市に「アトリエぼく色」をかまえる。現在、岐阜と東京の二拠点活動中。幼少期からの夢は絵本を描くこと。

3月末に横浜の石川町で行われた「魔法のことば展」に出かけて対面で一枚「ことば絵」を描いて頂きました。きっかけは現在展開中のクラウドファンディング「ボクはプレゼント」を絵本にしたい!というプロジェクト。原作は知人の編集者・ライターぽんさん。この物語に絵を添えて初の絵本出版化に意気込む若き作家は27歳になりたての新井理玖さん。絵本にしたい気持ちと、「ことば絵」一つひとつの作品に込めた思いを聞いてみた。今回は岐阜在住の理玖さんへオンライン取材です。

12歳から「ことば絵」作家の芽が育ち始める。

—先日はありがとうございました。早速家の一番目立つ玄関入った所に飾っています。そもそも「ことば絵作家」としてスタートしたのは何がきっかけで?

幼少期から絵を描くのが好きでした。小学4年生頃に、道徳の教科書で星野富弘さんという「詩画作家」と名乗る方の作品に衝撃を受けて、こういう作品がつくりたい!と思ったのが最初です。星野さんは事故で手足が使えずに絵筆を口で咥えて描いていた方です。ハンディを抱えながらも紡がれた純粋で真っ直ぐな感情の言葉たちに深い感銘を受けました。全文はお伝え出来ませんが、深刻な詩に「残念だが腹が減ってしまった」というラストの文章が妙に印象的でした。それに感化されて僕もことばを添えた絵を描き始めました。12歳の時に母や周りの大人が薦めてくれて初の個展を開催しました。

—ということは、15年も「ことば絵作家」として経験がおありなのですね。ちなみに中学校では美術部でした?

いいえ陸上部でした。走ることも好きでしたので。日曜日は個展を開催していました。小学6年生の時に愛知県犬山市の古民家で個展をし、反響が大きくて。美術科の専門課程がある高校へ進学しました。皆が美大を目指していて、僕もその一人に。でも、美大に落ちてしまったんです。

—美大は難しいですよね。浪人はしなかった?

初めての挫折でした。もう一度大学受験を目指すか、このまま個人として活動をするか。二つに一つでしたが、母の勧めもあって後者を選択。僕は4月生まれなので19歳から「ことば絵作家」として活動しています。今年8年目です。

—なるほど。だからこそ今があるのですね。これまで絵本は作られなかった?

岐阜のある企業さんから依頼案件はありましたが、自分の力量も足りず、今は頓挫しています。

—コロナ禍も被って大変な時期がありましたよね。3~4年フリーズしていた時間があったのでは?

2020年頃に、体調を崩して入院したことがあって。いろいろ思い悩んでダウンしたんです。受験で落ちた時よりもっと下がって、自分の今後の方向性を見失ってしまった。


毎日の散歩がインスピレーションの源。

—復活できたのは何がきっかけで?

休んでいる間、出展もストップして、暇な時間はSNSでいろいろな作家さんの活動や言葉を見て、吸収して自分も頑張ろうとなった。

—SNSは善し悪しでは?私は無い時代を知っているから、無くても成り立つのに、見てしまうと情報過多で比較しなくていいことをつい比較したくなる。自分らしくあるためにはデジタルデトックスしたほうがいい日もあるな!と思いますが。

ほんとにそうです。その辺りから本を読みだして、アート系、エッセイなど文がやさしい感じの本を。エッセイはその人の考えや自由な感じが直にわかるので。

—作品のインスピレーションの源は?

散歩です。自然を観察して感情と向き合う。空気を浴びて景色を見て、これが取り入れられるなーと感じます。意図せず吸収できるのが散歩です。

—今まさにクラウドファンディング中の「ボクはプレゼント」絵本化プロジェクトですが、これを読んだ時に感じたことは?

共通の知り合いから「読んでみてください」と渡されて、素敵な物語だと素直に感じました。読んだのは童話の原作で、絵本はショート版に構成し直します。いつもは紙ベースで読みますが、スマホに送られたデータを電車で読んで、いい物語だと思いました。僕は物語をちゃんと書いたことはなくて。物語を構築するのは力量がいるし、絵を描くのと全然違いますから。プロジェクトが達成できたら、絵と言葉を添える絵本を創作します。

たった一人に対してうまれる言葉を大切に。

—今まだ完成していなくてクラファンで達成してから制作ですね?もう完成版があるのかと思っていました(笑)。

準備やスケッチはしていますが、本格的に制作するのは達成後になります。一か八かのプロジェクトです。

—叶うといいですね。「ことば絵」のワークショップを『みんなのKICHI』でお願いしたいです。。

素敵なプロジェクトです。岐阜で活動していても、不登校児の親御さんが個展にいらしてお話をする機会が多いです。

—この先はどんな作品を創りたいですか?

人がいて生まれる絵と言葉で、自己表現というよりも目の前にいる人を表現するもの。寄り添い型で創っていきたい。 多くの人にというより、面と向かったひとり一人に寄り添う形で創っていきたいなぁという思いがあります。

—素晴らしいです。たった一人に届けたいことでいいと思うし、私もそういう気持ちで言葉を紡ぎます。一日のうちで創作時間はどのくらい?

ルーティンではありませんが、6時半起床。朝はコーヒー。前はパンでしたが、今は市販のグラノーラを食べています。体を労わるために。午前中に制作、アイデア出し。梱包・事務作業は午後や夕方が多いです。最近夜は9時半か10時には就寝します。

—健康的ですね。ではクラウドファンディングに参加していただくために、最後に一言お願いします。

お子さんと一緒に読みたい。子どもに手渡したいという人は特に。そして絵本が好きな人はきっとこの作品が好きになってくれると思います。5千円から5万円まで、ご寄付の金額によっていろいろ特典をご用意していますが、必ず絵本はお届けします。達成前はどなたが寄付してくださっているか個人情報なのでわからず。目標金額の140万円に達成したらわかるようです。約1か月後の5月20日終了予定。僕が初めて作る絵本「ボクはプレゼント」実現のため、どうぞよろしくお願いします!

—ありがとうございました。


※画像は許諾をいただいて掲載しております。

◆クラウドファンディング受付中


27歳というお若さで「ことば絵作家」として多くの人を勇気づけている作品の数々。それらはもちろん素敵ですが、自分の信念をもち取り組む姿勢が素晴らしいです。個人的には親御さんの存在も大きいと思い、今度ゆっくりお母様にもお話を伺いたい!クラファン目標額まで残り1か月、応援しています。手にしている作品は、対面でさらさらっと描いて頂いた「ことば絵」。宝物にします。(2026年4月取材・執筆/マザールあべみちこ)

取材の一部を音源データでご紹介します