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【KAKERUインタビュー No.79】

自然栽培綿「和紡布」をご存じでしょうか。石鹸や洗剤なしで汚れを落とす布で、顔や身体を洗うのをはじめ、食器洗いや油落としもできるスーパーお役立ちコットンです。化学肥料・農薬を一度も使ったことのない土壌で人力だけで栽培し、手で紡いだ糸なのだそう。これはもともと明治時代初期に、日本人が発明したガラ紡機で紡がれた糸や手紡ぎ糸を粗く織り上げて、ふんわりと柔らかな自然の木綿の風合いをもたせた布。この和紡布が使われ続けて100年以上経ちます。
この布をカーテンにして住居に取り入れてもらう「インテリアアドバイザー」の本業をはじめ、シャツや帽子、靴下など生活アイテムの数々を取り入れて販売する「わたの花」オーナー・中山ひろみさん。ご自身も長年肌トラブルに悩んでこられたとか。4人のお子さんを育て上げ、神奈川県藤沢市辻堂で小さなお店を開店されたのが一昨年の夏。長年の夢を実現された中山さんに、和紡布の魅力とエコな暮らし方を語っていただきました。

中山ひろみ【Hiromi Nakayama】

中山ひろみ【Hiromi Nakayama】

インテリアアドバイザー/「わたの花」店主
「わたの花」HP

1955年鹿児島県出身。4人の子どもを育てる専業主婦として暮らしていたが、15年前に近所の知人が手掛ける仕事を手伝ううちに一転。インテリアデザインの勉強を始めることになる。以来、地元の工務店とタッグを組んでエコ住宅を中心に、和紡布カーテンの営業職をこなす。時代とともに和紡布のよさが改めて見直され、カーテンを核に洋服や生活雑貨など小さなアイテムも開発して扱うショップ「わたの花」を辻堂に2008年5月にオープン。
現在は夫と二人暮らし。独立して暮らす子ども4人【長女(30歳)、長男(28歳)、双子の次女(25歳)、次男(25歳)】がいる。

 
 
私が「和紡布」を知ったのは、ここ辻堂にお住まいの友人からミトンを頂いたのがきっかけでした。お風呂で体や顔を洗って、使い心地がとてもよかった。石鹸をつけなくても肌が潤っている感じ。中山さんがこの製品と出会ったのはいつ頃でしたか?
 

私は、15年ほど前からカーテンを取り扱う仕事をしています。量販店で販売しているカーテンはレースと斜光の2枚必要ですが、綿100%のものはなくてほとんどポリエステル製なんですね。和紡布のカーテンは、雨戸があればこの1枚だけでも万能です。室内で明かりをつけても素通しになりません。綿は空気を含んでいるので保温効果もあります。ガラスからくる冷気も遮断します。今、エコハウスがブームですが、和紡綿は20年以上前から地元の工務店とタッグを組んで、神奈川全域の住宅に取り付けてきました。

 
ということは、その和紡布カーテンを営業するお仕事を通じて、その製品のよさを体感されてこられたわけですね。「明治の母は偉かった」というコピーも付いていますね。昔から存在していた製品なのでしょうか。
 

和紡綿は明治時代からあります。昔の女性はこの布で食器を洗ったり、家を掃除したり、体を洗ったり、拭いたり……と活用していたんですね。この布は、化学肥料や農薬を一度も使ったことのない土壌で人力だけで栽培し、手で紡いだ糸を使っています。

奈良県の「益久(益久染織研究所)」さんが30数年前から、 中国の人たちの生活を保障する約束した上で作られているものなのです。 人件費が安いから中国で全部作って輸入しているものも多いと思いますが、和紡布はそうではないんですね。日本人が、日本から綿の種を持って行き、現地の中国人を指導しながら自然栽培をし、現地栽培・現地製造を行っています。日本で加工しているものもあります。カーテンも奈良県で加工・製造されて私たちの元へ届きます。

カーテンを使ってみて和紡布のよさを実感された方や、肌の敏感な方から、さまざまな声を寄せていただいて、私がまずほしいと思ったのは綿のシャツでした。シャツを作って販売したら、さらにいろいろなアイテムのご要望をいただきました。それで、今度はパジャマ、パンツ、スカートなど派生していきました。本業の傍らで和紡布のアイテムを販売できるお店をいつかもてたらいいなと夢みて(笑)。

 
一昨年の5月に辻堂駅の近くに店舗を構えられ、反響はいかがですか。
 

「湘南物語」という地元のフリーペーパーに取材をしていただいてから反響が高くてビックリしました。店にきてくださる若いお母さんに出産後肌のトラブルを抱えている方もおられ、クリームを塗っても塗ってもよくならない。というケースもあるようです。肌には余計なものはつかずに、クリームも何も塗らなくてもいい生活を考えてほしいですね。石鹸とかクリーム、薬品などをつけることで肌に刺激を与えてしまっている。和紡綿を使うことで人間本来の治癒力を快復させます。「無添加」と表示されている化粧品でも添加物がたくさん使われていることや、石鹸で洗うことが肌トラブルの原因になっていることなどの知識ももってほしいですし、このお店を街の人のお役に立てる場にしていきたいです。

 
中山さんご自身もお肌がピカピカしていますが、これも和紡綿の効果ですか?
 

マクロビオティックの勉強を6年前から始めて、自宅でも作るようになったことも大きいです。肌には余計なものはつけない、そして食で内側からきれいになることです。私には4人子どもがいますが、正しいと思っていた食の知識がことごとく間違っていた(笑)。たとえば乳製品を摂取しなくても、小魚を食べるほうが骨を作るには体のためによいとか。今は成人していますが皆に悪いことしてきたなぁと(笑)。

 
うちは雑食系なので、なんでも食べては排泄して超燃費悪いです(笑)。今、値段だけで比較してモノを選ぼうとすると安いものいっぱいありますよね。「わたの花」のアイテムは、高いと言われませんか?
 

「高い」と言われることもありますが、 基本的に、こういったものを求めている方がお店に来られるので、 「良いものは良い」とおっしゃって買っていかれる方が多いです。結果として、初めて使った方でも、使ってみて良いとリピーターになっていらっしゃいます。

 
4人お子さんを育ててこられる中でお仕事を始められ、今も続いている秘訣は何でしょう?
 

家族の理解があること。それと、自分がやっていて楽しいからでしょうか。 それに何より、お客様の喜ぶ顔や声が嬉しいですね。 それから、自分が納得した上で「良い」と思える物を使って頂ける喜びもあります。

 
和紡布を使うとどうなるか。うれしいエピソードをご紹介いただけますか?
 

たとえばカーテンに和紡布を選ぶお宅は光熱費も節約できます。ポリエステルのカーテンと価格だけ比較すると、若干高く感じてしまうかもしれませんが、長い目でみると決して高くはないんです。カーテンの場合、縫製しないでクリップで吊り下げるタイプだと少し価格も抑えられます。

また、顔や体を洗うのに和紡布を使い続けることで、洗剤なしで食器洗いや鍋洗いに活用するのは環境的にもいいことです。アトピーが治ったり、シミやニキビが薄くなるという事例も報告されています。メガネや電化製品を拭くクロスとしても傷つけることなく汚れが落ちます。赤ちゃんのお風呂上りに和紡布のタオルで包んで拭いてあげるのも暖かくて、肌触りがよいです。ふんわりと柔らかな風合いは、カサカサした心も和みますよ。

 
私も思わず、赤ちゃんの帽子をプレゼント用に頂きました。赤ちゃんに使えなくなったら再利用できそうな和紡布(笑)。飾っておくだけでもかわいいですけれど。
では 中山さんは、これからどんな活動、お仕事をされていきたいとお考えですか。
 

事情があって、親と一緒に住めない児童養護施設や、夫のDVで逃げてきた女性や親子のシェルターとか、心が傷ついた人が集うそうした施設に、和紡布のカーテンを取り付けていきたいと思っています。
それから、店の前に置いてある、ペットボトルのキャップ集めの活動のようなことも続けていきたいですね。ボランティアとして少しでも役立つことをやっていきたいですね。 一人でやろうと思ってもなかなか捗らないことも、街の人と力を合わせると一歩が踏み出せる。

「わたの花」は、この街の人がふと立ち寄って話していけるスペースでありたいと思っています。

 
ありがとうございました。

肌があまり強くない私は、冬になるとボディクリームが欠かせません。でも、和紡布を使っているうちに本当にカサカサした感じや乾燥がなくなってきてビックリです。小さくて素朴な風合いの布ですが、昔からの日本人の知恵が詰まっているんですね。
カーテンから派生して、さまざまなアイテムが生まれ、今や街の顔になりつつある「わたの花」の中山さん。お近くの方はぜひ一度、遊びにいってくださいね。

わたの花(中山インテリア)
■ 住所 神奈川県藤沢市辻堂2-2-10 TEL 0466-47-2464
■ 営業時間 10:00〜18:00
■ 定休日 :日曜日


「わたの花」のお店を入ると左右にギッシリと和紡布のアイテムが陳列されている。シャツやスカート、パンツ、靴下など洋服の他、赤ちゃん用の帽子やおくるみなども!
和紡布のよさを試してみるなら、ぜひミトン(\390)をお薦めしたい。使い続けるうちに肌のなめらかさを実感できる。
お客様からさまざまな要望をもらい、そのたびに裁縫や編み物のプロに依頼し、製品化。ゆっくりじっくり、心のこもったアイテムが並んでいます。

和紡布で編んだ帽子。赤ちゃんのニット帽もある。肌のデリケートな方でも安心してかぶれます。

店内ではカーテンの注文も受けている。縫製するモノの他、クリップで留めるだけのタイプもある。お値段はお尋ねください。
お店の前に置いてあるペットボトルキャップのカゴ。これ一杯で恵まれない国の子どもたちのワクチンが3本買える。いっぱいになると街のまとめ役の方が持って行ってくれる。道行く人が協力してくれたり、とてもいいボランティア活動。
鹿児島の「あんのうイモ」は1キロ750円で販売中。他、屋久島のお茶も販売。おいしくて体によいものが少しだけ置かれている。
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