ハイパープランツという会社を起業されて、もう15年ということで。まだアロマセラピーが日本では珍しかった頃だっと思います。起業されたきっかけは何でしたか? |
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もともと教師を目指していたのですが、一度は社会経験をと思って信販会社へ就職しました。そこでは信用調査の仕事を2年ほど。信販会社っていわゆるお金を貸したりする取引があって成立しているビジネスですが、回収できない債権者が自殺したり、店舗へ銃弾が撃ち込まれたりで結構リスキーな業種でした。それで、もっと環境や健康について考えたいと思い、「大地を守る会」の有機農業開拓スタッフとして転職しました。90年代前半のことで、まだ有機農業がビジネスになるか半信半疑の時代で、それを啓蒙する活動に取り組みました。そんな時、アロマオイルの本と出会って、ラベンダーオイルを使ったらとてもいい香りで。香水は嫌だけど、天然は素敵だなぁと目覚めてしまいまして(笑)。
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90年代前半ですと、インターネットもこんなに普及していない頃でしたよね。携帯電話もメールも存在しなかったですし。アロマに魅力を感じられて、それを商品に御商売をされるまでは数々の道のりがあったのでは? |
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そうですね、94年に起業したものの一番最初にやったことというのは、JETOROに行ってアロマオイルを抽出してくれそうな企業を世界各国から片っぱしから当たりました。ドイツ、フランス、オランダ、、、ヨーロッパ中何十社も手紙でアプローチしました。もちろんほとんどナシのつぶて(笑)。そんな中で、ある日フランスのある会社からコンタクトがきまして。「明後日フランスへ帰るから、どうしても会いたい」と。
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すごい確率じゃないですか!コンタクトは電話で「ボンジュール」と? |
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いえ英語でしたね。お互いに母国語が英語ではないもので、片言でありつつ伝え合うといった感じで。そのフランスの会社はとてもよいオーガニックのアロマオイルを手掛けていて、「このメーカーのものなら信頼できる!これを輸入しよう!」と。これを商売にすることが起業へとつながりました。ただ、準備しないといけないことがたくさんあって、独占輸入代理店の免許を取る必要があったり。それで、フランスへ初めて行くことになったのですが、クレジットカードが作れなくて(笑)。わずかなトラベラーズチェックを持って渡仏。大体どこにその会社があるのかも、よくわかっていないのに、地図とメトロマップだけを頼りにして単身で渡りました。
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チャレンジャブルですね。でも、メールでポンポン送れる時代だったら、その熱意は行動に結び付けられなかったかもしれませんね。そのフランスの会社、見つかりましたか? |
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たどり着きましたよ。とても田舎町の、プレハブ小屋にかろうじて看板が掛かっているような小さな会社でした。それで片言の英語で日本でお宅の製品を販売したいから、輸入させてほしい。権利をくださいとお願いしまして。何の縁故もなく、裏付けもなく、賭けでした。でもあっさり「はいはい。じゃあ契約しましょう」ということになった。はるばる日本から、直接行った甲斐がありました。
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日本でもアロマが注目され始めて、ビジネスは順調でしたか? |
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LOFTがアロマコーナーを設置するタイミングで、輸入した製品をそこで販売できるようになりました。ただ、仕入れるお金も、人を雇うお金もなくて、95年〜96年の2年間は自宅の2階をオフィスにして、仕入から卸、販売まで全部一人でやっていました。在庫を置いておくための資金もなくて、常に資金繰りとの闘いでしたね。そのうちアロマブームもあって、超多忙になって西馬込のプレハブ倉庫を借りてオフィスにしていたら、ある時そこへ一人の医師が訪ねてこられて「お宅で品質の良いアロマを置いていると聞いた」と。
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医療分野でアロマが使われることもありますよね。そのパイオニアだったわけですね? |
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私はお金儲けではなくて医療や福祉に役立てばいいなと思って起業をしたので、90年代半ば以降の「アロマがファッション」と捉えられているような流れがどうも受け入れ難くて。97年11月にアロマセラピー学会を立ち上げることになって、それに奔走。事務局長となって全国行脚しました。現在は医療従事者が約3000人が協会に加入している規模の団体となりました。
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お忙しい間にご出産もされて。その後、ガンが見つかって……とご自身の体調も大変でしたね。
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とにかく休みなしで働き続けるうち、99年に娘を出産し、家で子育てをしながらすぐ仕事に戻りました。2005年に胃の痛みが治らず、初めて胃カメラを飲みました。そうしたら悪性のガンと診断されて、当時は「ガン=死」というイメージがあったので告知されてから頭がまっしろになってしばらく渋谷の街をさまよい歩きましたね。でも切り替えがはやいので、「子どもが告知されずに、自分でよかった」と捉えなおしました。それで入院をして手術、治療と続きまして。
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ご自身が手掛けられているアロマがとても役立ったわけですね。 |
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入院中もアロマで足のむくみをとってもらうマッサージを受けたり、手術が済んで麻酔が切れる時は精神的に錯乱状態になるのですが、アロマのラベンダーの香りを嗅いで沈静化させたり、手術前日は緊張して眠れなくなってしまうものなのですが、ローズの香りを枕もとに置いてぐっすり熟睡しました。ガン患者は退院後のサポートが不足しています。アロマは補完代替医療としていかせるもの。西洋医学でない医療を実践するうちに元気になりました。それで、食事の大切さも身にしみてわかりまして、2007年に「Kanbutsu Cafe」をOPENしました。
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マザールでも「あべんとう」を展開しているので食の大切さには共感します。とてもおいしいものをセレクトして販売しているのと、お惣菜も考えて作られているものばかりでおいしそうですね! |
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私も「あべんとう」の考え方は素晴らしいと思います。 未来を担う子どもたちにこそ、食の大切さを
伝えたいですし、質の良い食こそ頭の良い子を つくる近道だと考えています。
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では最後に、同世代の読者の方へメッセージをお願いします。 |
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あとで後悔しないように、何事も思い立ったら吉日です。いろいろ準備したり、知識を詰め込むことも大切かもしれませんが、本当は無知ほど強い武器ってないかもしれません(笑)。直観を信じて、動いてみるといいことがありますよ。
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ありがとうございました。
川人さんとは「Kanbutsu Cafe」でお話しさせていただいたのですが、とても素敵なお店!小さな店内にはおいしそうなお惣菜やカンブツ、スイーツなどが所狭しと並んでいて、あれも、これも、それも、どれも!と薄いお財布の中身でありながら、一気にたくさんお土産に買って帰ってまいりました。そのどれもがおいしいこと!
夕食の一品にと購入したお惣菜はお海苔とひじきがミックスしたみたいな不思議な食感で、ほんのり甘くてご飯がいっぱい食べられました(翌日のお通じも爽快!)
。スイーツも、飴玉も、心をこめて作っていらっしゃるのが伝わってきます。大量生産ではないよさが、こういうお店にあるんですよね。アロマの新製品も、画期的な素晴らしい商品が間もなく登場するとのことで、ワクワクしています。
これからも益々のご活躍を!
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