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【KAKERUインタビュー No.55】

米粉(こめこ)をご存じでしょうか。輸入の海外モノに依存する小麦粉から、国内で需要と供給を賄えるお米の新しい食べ方、新しい食材として注目されています。今回ご紹介する小田原のお米屋店主、志村成則(しげのり)さんは何と明治2年創業の米屋「志村屋米穀店」の5代目店主。米屋の店主となってから7年目。関東地区の米屋店主や農家を取りまとめる「若米会」の会長さんも務めていらっしゃいます。日本の主食といえば、お米。その米を使ってこれからどんなことをしたいか、1歳3ヵ月のお子さんを育てるお父さんとして、そして来夏には次のお子さんの誕生も予定。お米の未来について熱く語っていただきました。

小林和子【Kazuko Kobayashi】 志村成則【Shigenori Shimura】

米屋店主

1973年、神奈川県小田原市生まれ。大学の物理学科で学んだ後、企業の海洋調査コンサルタントとして務める。28歳の時、家業の米穀店を継ぐ。米屋をやる傍ら、田んぼでお米を作る。趣味はサーフィン。現在、「若米会」会長。家族は両親、妻、子。
 
私、クリエーターという視点で人選して「KAKERUインタビュー」でこれまで色々な方をご紹介してきましたが、お米屋さんって初めてです。考えてみれば、農業こそクリエートな仕事。毎日ご飯を食べていますし、ひょんなことからお知り合いになった神奈川県で頑張るお米屋さんの志村さんにもっと話を聞いてみようよ!ってことで、今回ご登場いただきます。
 

僕は米屋の5代目です。明治2年に初代の志村屋は創業しまして。米屋になる前、大学を卒業してから、僕は海洋調査コンサルタントの仕事をしていました。もともと理系で物理学を専攻していたんですね。転勤で石川県に行って、なんだか東京の権力が及んでいない地域というのを知って、茶道や華道も文化が根付いていましたし、何より太陽が海に沈むことが衝撃でした。漁も農もやっている姿に感動して、ああ、一次産業っていいなと。

7年前にお米屋さんを継がれて、他のお米屋さんと違うウリというのは?
 

農家の方のお米を仕入れて売るだけではなくて、自分で田んぼをやっています。地産地消で小田原の旅館や飲食店にニーズがあります。米作りをしたいと思ったのは体力があって、それを生かす方向にしたいなと。地元で作ったお米を地元の方に食べていただくというのを目指しました。 お米をもっとおめでたい日に登場させてほしいと思って、寿ギフトというのもやっています。今は「ゼクシィ」とか雑誌やインターネットで販売していますが、出産の内祝いをはじめお祝いの席にもふさわしいので、広めたいですね。 それから、米粉(こめこ)を売っています。

 
米粉(こめこ)って今すごく話題ですよね。スイーツやパンになって、しっとりモチモチしておいしいのだとか。
 

うちは3〜4年前から取り扱っています。今までは小麦粉しかなかったけれど、米でも粉ってできるんだ!と。輸入に依存しないで自給率もあがります。国がよくなる方向、世の中がよくなるビジネスなんです。年々、メディアでも取り上げられて質がよくなってきました。うちの米粉は小田原の老舗かまぼこ店・鈴廣さんに使ってもらっていまして、「シフォンケーキ」にして販売されています。神奈川新聞やTVK、横浜ウォーカーなどで「地元産のグルメ」として取り上げてもらってすごく反響がありました。

 
地産地消へのこだわりがみえますね。小田原には、志村さんのようにお若くして自営業されている方は多いのですか?
 

結構います。靴屋さん、制服屋さん、花屋さん、魚屋さん、リサイクルセンター、農家……皆それぞれ頑張っていますが、逆にいうとそれくらいかなぁ。靴屋の友達は、「ギョサン」というヒット商品を作った人です。僕の同世代はほとんど横浜とか都内へサラリーマンとして通勤しています。地元の消防団に参加しても彼らサラリーマンはいない。万が一、災害があった場合とか、やっぱり若い力が必要じゃないですか。

 
私も長いこと「横浜都民」でしたから、よくわかります。自分が住む街、地元で仕事ができればそれに越したことはないのですが、なかなか発想の転換ができないものなんですよね。ところで、お米はお幾らくらいで購入できますか?
 

家庭用は5キロで2450円。2〜3キロでも配送します。今のところお電話での注文が多いです。飲食店、宿では地産地消の考え方が浸透つつあって、ニーズが高くなってきました。

 
顔が見える関係で、安心、安全なものがほしいということなんでしょうね。スーパーマーケットで売っているのは、表示されているものを疑いようがないのですが、少し割高でも、しっかり説明して売ってもらえる店がこれからは受け入れられるのでしょうね。
 

地元の米が買えるところが限られているんです。うちで作っているのは「きぬひかり」という品種です。
それと、小田原市長が今年新しく40代半ばの若い方に交代して、市長と話す機会「小田原魚市場でイモコジ朝会」という朝飯を一緒に食べる席を設けてくれています。10人くらいのグループで参加するのですが、そういうのにも顔を出して米について語っています。

 
きょう参加させていただく「若米会」という団体を取りまとめている会長でもありますよね?
 

今回は米粉の今後さらなる普及をにらんで、米屋・農家の米粉の取扱いは?とか、自社製粉、製粉会社に委託製粉、または他社の米粉を取り扱う方がいいのか?など、米粉について一から勉強し今後の販売につながるような会を開催しています。今日は28名の参加者です。

 
皆さん、おいしいお米を食べているからに違いないと思うのですが、お顔の色つやがいいですし、気が利くし、手際がいいし、朗らかだし温厚な方ばかり。やっぱり食べ物、主に米の質によって感情面とかものすごく影響があるように思いますが、いかがですか?
 

あべみさんがお感じになったように、このメンバーお米をたくさん食べて育っているせいか血糖値の上昇が緩やかで温暖な人たちばかりです。今、自分の子供にも米飯をせっせと食べさせています。

 
小学校へも出張講座をされていらっしゃるとか。
 

近所の小学校で『お米パワー教室』というのをやっています。日本米穀小売商連合組合の主催で国から予算をもらって、ごはんパワー教室を希望する小学校へ、お米の大切さなどを教えに 近所のお米マイスター が派遣されるというものです。※お米マイスターとは、お米の専門的な知識を習得したということを日米連で認定した人のこと。先日は、近所の小学校5年生に教えてきました。もみすりとか楽しんでもらえました。

 
うちの子も5年生でお米の勉強やっています。なかなかお米づくりを身近にできることはないですから、とても貴重な時間ですね。
 

そうですね。子ども達は毎日食べているお米なのに、意外と炊く前の「生のお米」を知らないし見ていないようです。今、活躍している大人たちが必ず守っている習慣はなんでしょう?との問いかけに多く生徒が「なんだろう?知りたい!」と言った感じで。
『毎日朝食を食べる』『適度な運動』『早寝早起き』だということを知り、このことを忘れずに実行しますと感想文に書いてくれた生徒が多くいました。今回、自分自身とても勉強になりました。

 
これからお米で、どんなビジネスを考えていますか?
 

楽しく仕事をしたいですね。自分の想像力を発揮して当店でしか買えない商品を開発していきたいです。皆さんに感動して喜んでいただけたらと思います。 小田原に志村屋あり!と全国にとどろかせたいです。

 

ありがとうございました!
「若米会」に参加させていただき、米粉(こめこ)の試食会でシチューと米粉パンを食べさせていただきました。シチューはちょっと薄かったのですが、パンはしっとりモチモチで超おいしかったです!! 試食会の前の勉強会も、米粉について知識が深まるとっても有意義な時間でした。そして、参加していたお米屋さん&農家の方々、本当に皆、元気な人ばかり。お米のパワーってすごい、人がらにも関わるのです。米粉で何か新しい商品ができるのを楽しみにしています。

 

ベターちゃんは志村屋米穀店のシンボルマーク。

上半分に白色のもち米、下半分に紅色の赤米を詰め、紅白のおめでたい感じのデザイン。 ブライダル用プチギフト (紅白スティック米) 56g\285

小田原で獲れたお米がこんなにおいしいとは… とビックリされる方が多いです!ぜひ一度お試しください。
5キロ2,450円。

たかしま生きもの田んぼ米は、滋賀県高島市が『たかしま生きもの田んぼ』を立ち上げ、多くの生きものが生息できるような環境で育てた無農薬のお米。ここの農業排水は京都大阪の水道水になる琵琶湖へ流れ込みます。生き物が生息できるような綺麗な排水を流すことは、京都大阪の人にとっても非常に重要なことです。とても頑張っている産地で、若い後継者もいます。価格は5kg3,950円。

おだわらエコりさいくる米 は小田原市内の学校給食やデパートで出た食品廃棄物をリサイクルした肥料で育てたお米。農薬は田んぼには一切使用せずに地元の田んぼで育てました。休耕田復活米とあるのは、もともと休耕田であったところを再び田んぼとして復活させたことから付けられました 。5キロ3,500円。

コンバイン運搬のため トラックに載せるところです。危険。事故が多い。

コンバインで稲刈り 。

パン用米粉。しっとりモチモチのパンができあがります。

 

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