声やお話しのされ方は、お姉さまの万里子さんとそっくりですね。典子さんが作詞活動を始められたきっかけは何でしたか? |
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電話ですと親も姉と私を間違えるようです(笑)。作詞活動は、かれこれ10年以上前からになります。姉の万里子が音楽活動をしておりまして、『子ども向けの歌を作詞してほしい』と依頼されたのが始まりです。当時から犬に関わる仕事をしながら、半ば副業的に作詞活動をしています。
作詞は100曲分くらい書いてきていると思います。自分で思いついて書きためた作品のうち2割くらいしか発表していないですけれど(笑)。
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典子さんの作られる詩は、どれも「そうそう!」「ああ、わかる!」と思わず言いたくなります。その映像まで浮かんでしまうような日常を切り取っているというか。 |
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「衣替えメランコリー」、「レジ待ちの列」など、私自身が体験してきているものです。真面目に見えますが、実はもともと何でも観察するのが好きなのです。そもそもどんな対象でもまっすぐ捉えずに、皮肉ってみる癖があるのです。そして何か落ちをつくりたくなる(笑)。ふふふ、性格悪いんですね。
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その目の付けどころが鋭いですよね。それと、どの歌も曲とぴったり息があっているのは、姉妹の共作だからでしょうか?たとえば「マーボー・マンボ」なんてリズミカルで、0コンマ1秒のズレもなく歌えます。 |
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この歌を作ったきっかけは、単にマーボー豆腐が好きなのとマーボーの語呂がマンボに似ていたからというだけです(笑)。マーボー豆腐って自分で一から食材を揃えて立派に作っても、市販のマーボー豆腐の素を使って作るほうが家族には好評だったりしますよね。マーボーとマンボって言葉も似ていますので、マンボのリズムにのせて歌えるように作りました。
笑える歌はほとんど私が手がけていますが、涙する歌は姉の万里子が作詞をしています。
私には、あの方向で歌詞は作れないんです。
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なるほど。そこが姉妹の感受性の大きな違いでしょうか。子ども時代はいかがでしたか? |
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私は父に「お前は赤ん坊の頃から冷めていた」と言われます。うちは家族全員、血液型もバラバラで。父はAB型、母はO型、姉はB型、私はA型。ですから、私は昔から家族内をまとめる仕切り役でした。冷静な立場で、まじめな良い子を演じている(笑)。そのうっぷんが作る詩で発散されているかも。
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小さな頃は、やはり音楽に触れる環境がおありでした? |
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ピアノは習っていましたが、あまり好きではなかったですね。私が練習していると、2階からトントントンと姉が降りてきて「今のところは、こう弾くのよ」なんて教えてくれたりしましたけれど。
父が、クラシックから演歌、ジャズとジャンルを問わず音楽が好きな人でしたから、レコードもたくさん家にありました。そういう環境で、まだ周りの友達が「にしきのあきら」や「西城秀樹」に熱をあげているなか、私はカーペンターズの来日コンサートに行ったりして皆とは音楽の趣味は一線を画し、ちょっとおませでした。
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音楽的なセンスだけでなくて、作詞ってやっぱりどんなことを歌うか。どんな視線でその対象を掬えるかなんですよね。コピーライターも本来そういう仕事ですが、時代と共に言葉の力が届かなくなっています。 |
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もともと書くことは好きでした。子どもの頃から、絵日記を毎日つける宿題が苦になりませんでしたから。でも、どこか茶化して物事を観察する癖がありますね。ちなみに姉は逆に、感想文や作文という宿題は苦手で、父が代筆をしたこともあったようです(笑)。当時は私もそんなことは全く知りませんでしたが。昔の写真を見るとわかりますが、姉は人に見られるのが好きなタイプで、常に正面ポートレイトで写っていますが、私は影でひっそりと立っている。
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小さな頃の夢は、なんでしたか? |
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小学校の時はバスケットに夢中で、その頃は「バスケットの監督になりたい」と言ってましたね。自分の置かれた立場を延長して捉えるタイプでした。
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今、二足の草鞋をはいてお仕事をされています。 |
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ドッグシッターとして10年以上続けています。大学卒業後すぐに結婚をして、30代後半で離婚するまで「奥様」でしたので、まったく社会で働いたことがありませんでした。ですから「これから働くなら、好きなことを仕事にしよう」と思って、犬に関わる仕事をしたいなと。ボランティアとして始めるうちに、だんだん本格的な職業になって。今もお付き合いのある都内のワンちゃんたちは、大型犬で皆老犬です。
作詞家として食べていければそれが一番でしょうけれど、あまり「こうなりたい!」という欲もなく……。
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では、これからやりたい活動というのは、どんなことですか? |
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そうですね。犬にずっと関わってきているので犬との関わり、大切さを伝えられること。そこから学びを得られるような詩をつくることでしょうか。それと、長年家で犬を飼っていらしても飼い方を知らない人が多い。子どもから大人まで読める、そうしたノウハウを伝えられる本を作ってみることでしょうか。
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ありがとうございました。
淡々とお話しされる典子さんのトークは、笑わずにはいられないエピソードばかりでした。秦姉妹はお互いに、「ああはならない」と捉えていらっしゃるそうで、お互いに「全然合わない」と思っているからケンカもないとのこと。笑えて、泣ける、あの数々のメドレーは、姉妹それぞれの持ち味をいかした作風なのですね。「犬を見れば、その家庭がわかる」とおっしゃる観察眼もおもちなので、「ドッグシッターはみた!」なんていう脚本も書けるかもしれませんね。これからも楽しい作品を期待しています!
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