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【KAKERUインタビュー No.45】
離婚をはじめ家族・夫婦問題といえば、マスコミに必ずコメントを求められる池内ひろ美さん。この13年間で執筆された著書の数は20冊を超えます。テレビにもよく出演され、女優さんかと見間違うほどの美しさですが、誰にも媚びることなく歯切れよく夫婦・家族問題に対する発言内容は真実を突くことばかり。外見とのギャップに驚きつつ、ファンになる方も多いのではないでしょうか。
私は今から9年ほど前、自宅にPCを買ったばかりで真っ先に検索したワードが「離婚」でした。そこに「離婚の学校」が一番にヒットして、主宰される池内さんと出会い、離婚を超えた、あるいは渦中にいらっしゃる多くの方々のお話しをメールを通じて、あるいは直接お目に掛かってお聞きすることができました。どんな人にとっても『明けない夜はない』。そして乗り越えてきたことが多いほど、人は強くやさしくなれる。その集いで、胸を撃ちぬく宝物のフレーズをたくさんいただきました。心に宝石をもつようなキラキラした人がたくさん集うのは、池内さんご自身の引き寄せのパワー。そんな池内さんの子育て、東京家族ラボでこれから展開されることなどについてお聞きしました。
池内ひろ美【Hiromi Ikeuchi】家族問題コンサルタント・評論家 池内ひろ美【Hiromi Ikeuchi】

家族問題コンサルタント・評論家
「東京家族ラボ」主宰

1961年岡山県生まれ。夫婦・家族問題評論家。夫婦・家族問題コンサルタント。メディエーター。日本ペンクラブ会員。栄中日文化センターはじめ新聞社系文化センター講師。96年より「東京家族ラボ」主宰。精神科医、弁護士、心理カウンセラー他専門家が参加しカウンセリング、ワーク・ショップ、講演会、研究会等を行なう。98年、東京家族ラボ法人化。結婚と離婚、恋愛、親子関係などのコンサルティングを行ないながら、現代の男女・家族のコミュニケーションから、本人が幸せを感じて生き方にいたる問題を相談者とともに考える。24歳で結婚、32歳の時5歳の一人娘を連れて離婚。99年再婚、娘と夫は養子縁組を行う。95年から著作活動をはじめる。人生をリストラクチャー(再構築)するため前向きに選択する離婚を「リストラ離婚」と名づけて上梓した後、離婚にかぎらず、夫婦・家族・親子・教育に関わる作品を発表し続けている。
 
きょうは池内さんについてじっくりご紹介させていただきたいので、まず「東京家族ラボ」を立ち上げたきっかけについてお聞かせいただけますか。
 
私が夫婦関係の修復を求めた時、相談したい民間機関がありませんでした。離婚してから、大阪で編集プロダクションのような仕事をしていましたが、娘が5歳の時に阪神大震災に遭って、親子で命からがら東京へ来ました。それで、東京で何か仕事をするなら、民間の相談機関を自分でつくってみようと。
もともと私は岡山県出身。地方で生活をしていますと、離婚でなく夫婦の問題でも地域の人の目がありますから、相談すること自体、心理的なハードルが高い。東京なら、安心して聞いてもらえると遠方からわざわざお越しになる方も多いのです。
東京の方だけでなく、新幹線を乗り継いで全国各地から相談者が多数お越しになります。テレビ出演されてからは、知名度もグンと上がりました。
 
メディアに出ることは自分の居場所を一番速く伝えられる手段です。民間の相談機関でも、看板に出ている先生と違う人が対応することはよくあるのです。せっかく話を聞いてほしいと扉を叩く相談者にとって、それは恐怖です。テレビに出演することで、私の顔と声を見て聞いてもらえる画面を通して、「この人に相談したい」と思ってご連絡くださるわけですから、代理を立てることなくすべて私がお目にかかっています。 今まで、ワイド ショーのレギュラー出演等で必要なテーマのとき発言させていただきました。 夫婦コミュニケーション、子育て、家族関係、親子関係、しつけ、教育など、年々、ご相談のテーマが広がっています。
 
池内さんにはお一人お嬢さんがいらっしゃって、今19歳でロンドンの大学に留学されています。5歳の時に離婚、その後新しいお相手と再婚もされ、お嬢さんは15歳の時に留学を決められたそうで。すごく自立されていて偉いなと。池内さんはどんなふうにお子さんと接して、育てられてきたのでしょう。
 

私は躾に厳しいですし、親子の上下関係はしっかりしていました。社会に適応できるようにするのが親の役目ですが、「友達親子」だと距離感も図れず、かばってばかりで結局一人立ちをさせることを阻んでしまいます。
約束を守る。ウソをつかない。健康であること。そういう基本を押さえるようにしていましたね。母子家庭のため一人留守番させることも多かったため、小学1年生の頃から料理も教えていました。火気は危険ですが、炊飯器は子どもでも安全に使えますから、炊き込みご飯やピラフも炊飯器での作りかたを教えました。包丁の使い方は、通っていた学童でも教えていただいたんですよ。

娘の小学校時代は、まさに今弊害視されている「ゆとり教育」の始まる元年。中学、高校でゆとりをもっても、大学受験は待ってくれません。娘自身が色々考えて、小学6年生の12月に「私立を受験したい」と言いだして、ものすごく集中し1ヵ月半くらい勉強して何とか2月の試験に臨み、私立中学へ進学しました。その後、通っている学校がおもしろくないと言い出し、夫の助言もありまして、イギリスへ留学したいと決めたのも娘です。英語の壁もあったことでしょうけれど、その選択はよかったと思います。学校のノートの取り方が日本の時と、イギリスのと見せてもらいましたが、全然書き込み方が違いました。日本のは先生の板書を写すノート。イギリスは自分で掴んだことを学び取っていくノートという感じで。

 
うらやましいくらい、しっかりと自己を確立されていらしたのですね。東京家族ラボを立ち上げられて、お母さんが頑張る姿を見て育ったからでしょうか。
 

うちに限らず、離婚した家庭の子は母親の苦労している姿を知っているので、親の力になりたい、悲しませたくない、と思うのでほんの少し大人になる。娘の自立は早いほうだったと思います。でも、まだ小学生時代は夜一緒に絵本を読んでいました。ビデオやテレビは与えられるだけのものですが、絵本は挿絵や、言葉の感じを自由にイメージできます。感情をこめて読む人の気持ちにも寄り添えるし、登場人物の気持ちにもなれるし。そういう子どもにとっても、親にとっても特別な時間は大切です。あっという間に大きくなってしまいますから。
それと、ご飯を一緒に食べられない日も、お風呂には一緒に入るようにしていました。そこでその日の出来事とか、長く話しをしましたね。おかげで今でも娘は長風呂のクセがついてしまいましたが(笑)。

 
うちも親子で過ごす絵本の時間と山登りだけは継続しています。ところで、池内さんは再婚された旦那さんも包容力のあるすごく素敵な方で。夫婦問題でご相談に来られる方には、どういったアドバイスをされていらっしゃいますか。
 

夫婦の関係は、案外簡単にうまくできるんですね。ところが、お互いに相手を貶めて、苦しんでいる方が多い。 例えば、夫が妻のことを「愚妻」と表現することがあります。こちらを下げて、相手をたてる旧い日本文化が映し出されています。時代に合わせて、変えていかないと関係は継続できないものではないでしょうか。
企業でも創業時に掲げた理念のままの企業は倒産しますよね。夫婦だって、毎年ちゃんと形を変えながら続けていけばいいのです。そのためには、言葉を使う話し合いとか、長く一緒にいる時間数だけではありません。言語と非言語の伝え方は、どちらもあるのです。
私は離婚を否定していませんし、その経験は次にいかせばいいと思います。再婚はいいものですよ。家族は多いほうが楽しいですし。子どもが巣立ってから考える再婚もいいと思う。

 
私は自分自身が未熟な離婚を経ています。離婚は人それぞれ色々なケースがあって、夫婦や家族の歴史もそれぞれ。一概に「離婚は悪」とか「子どものためによくない」というような捉え方は、違うと思っています。人生で決めていくこと、選んでいくこと、掴んでいくこと、背負っていくことは人の数だけ違いがあります。それでも、子どもを抱え経済的に自立を迫られる女性は相変わらず立場が弱い。
 

誠実でまじめに考える人のほうが苦しみを与えられている、という現象が日本国内で起こっています。夫婦関係も、離婚も、仕事も、地域でも。物事をいい加減に放り投げる人は、誠実でまじめな人にすべて押し付けてしまうんですね。

 
子どもを育てることって、オムツを替えたり、お風呂に入れたり、休日遊びに行ったりなんてことは、赤ん坊時代の断片でしかない。もっと成長してからお金とエネルギーを子どもにかけることが多くなります。池内さんが娘さんに経験させてよかったと思われることは何ですか。
 

サマースクールですね。これはぜひお勧めしたいです。イギリスの寄宿舎がある学校が、夏休みだけ海外の子どもたちに開放しています。日本の仲介業者を介して、娘を参加させました。1週間から4週間くらいまで滞在期間もさまざまです。親子がベタベタくっつかない期間をつくるのは大切。国内ですと、山村留学という手もありますね。他の価値観があることを見せてやるのが、親の役割であり、務めです。親が死んだ後に、その子が社会の一員として生きていけるかですから。

 
その通りですね。うちもミステリオというサマーキャンプに毎年7泊8日お世話になっていますが、今年はサッカー合宿と日にちがかぶってしまい、残念ながら参加できません。費用は安くはないけれど、それだけの価値があります。そこで生まれる仲間とのつながりも、大きな意味合いをもつと思うんです。他に、生活面で心がけておきたいことはありますか。
 

メールはパソコンで打って、読むなら書籍とか新聞を。小説をはじめ、ニュースでさえ携帯で読む人が増えていますけれど、あの小さな枠の中で読むと200字くらいが限度。視野が狭くなります。

 
こんど「東京家族ラボ」の他に、「ファミリークラブ」を作られます。これは、どんな方を対象としたものですか。
 

「東京家族ラボ」と並行してやっていきますが、家族が幸せになるためにメンバーひとり一人が幸せに感じていけるよう、家族を定期的にチェックする機能をもつ機関です。登録会員制で、メンバーにむけてのサービスとなります。キャッチフレーズは間もなく公表しますので、どうぞお楽しみに!

 

楽しみにしています。ありがとうございました。

池内さんと最後にお会いしたのは、息子が小学校へ上がる前だったので実に6年ぶりくらいでした。ブラウン管を通して拝見していたものの、直にお目に掛かって、さらに美しく知的におなりになってらして、幸せオーラをふんだんに浴びさせていただきました。ラボに備えてある、お客様をおもてなしするキャンディひとつにしても、新宿高野フルーツショップのおいしい飴を用意されています。「そう安くはない金額をかけてここにお越しになる方のために」という細やかさ。それが、人を惹きつける力の根源かもしれません。これから開かれる「親子関係」講座に、私も参加させていただきます!


■Family club連続講座
『幸せになる夫婦コミュニケーション』
6月19日(木)10:00〜13:00 互いを活かすパートナーとのコミュニケーション
7月17日(木)10:00〜13:00 人とのかかわりの中で「わたし」に気づく
9月18日(木)10:00〜13:00 伝え上手、聴き上手
10月16日(木)10:00〜13:00 心のストライクゾーンを広げる

『幸せになる親子コミュニケーション』
11月20日(木)10:00〜13:00 子どもはみんな愛されたい
12月18日(木)10:00〜13:00 ついつい怒ってしまうその前に
2月19日(木)10:00〜13:00 子どもに伝わる「伝え方」
3月19日(木)10:00〜13:00 子どもの心に寄り添う

*定員 約10名 年齢・性別・経験不問
*会場 東京家族ラボ 〒171-0031 東京都豊島区目白3-12-11ハムレット目白D棟
*受講料 4回連続20,000円(単発受講の場合、1回6,000円)
*お問い合わせ・お申し込み 東京家族ラボ内「Family club」
TEL.03-3953-3395 FAX.03-3953-3398
info@familyclub.cc


 

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