志村さんはオペラ歌手としてご自身も歌われる一方で、コーラスの指導も熱心にされていらっしゃいますよね。メディアはあまり取り上げませんが、こういう地道な活動のおかげで音楽を身近に感じられたり、人の輪が広がったり。継続は力なりですね。 |
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私は結婚を機に主婦として生きる道もある、家族を宝にすることもありなのでは……と考えて一旦はソプラノ歌手の道を辞めました。オペラって、そりゃあプロが歌えば素晴らしいものにはなりますが、練習時間は夜間が多く、期間も長くて子育て中は無理。
一方で、一年間指導した子どもたちが練習して頑張って歌うことは、違う意味で素晴らしいんです。
長女がミュージカル「アニー」出演後、CDデビューをきっかけに私の音楽プロデュース人生がムクムクと復活しました。自ら歌う幸せから、子どもや大人の可能性を引き出す「ワザ師」に変貌。80歳のおばあちゃまから幼稚園の子どもたちまで、これまで教えてきた人数は延べ2000人を超えます。
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高校の音楽教師としても教壇に立たれていらしたとか。 |
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はい。友人が教師志望で付き添いで教育委員会に行った時、「一緒にきたなら、書類くらい出せば?」と促されて提出したら、運よく合格しまして。それで、2つの高校で5〜6年間教えていました。一つはスナオな生徒が多い学校でしたが、もう一つは手のつけようがないくらい荒れていた学校で。音楽の授業なんて基本的に受ける気もなくて。いかにして参加させるか?楽しんでもらえるか?当時は、彼らの気をひくのに必死でした。考えてみれば、結構危ない立場にいたかもしれませんけれど。 |
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俗にいう「ヤンキーな高校生」だったわけですね? |
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そうです(笑)。でもね、気持ちは皆いい子ばかりで、歌うことだけでなくピアノを弾けるように指導して、最後には全員バイエルの青が終了できるくらい、弾けるようになったんですよ。こおおおんな(リーゼント)髪の毛している兄ちゃんが、鍵盤を必死になって弾くの。でも、音がつながってくると「できた!」って喜びがすごいんです。 |
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音楽の力は、そういう意味で心をスナオにさせますね。更生させるといったら言い過ぎかもしれませんけれど。 |
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コンサートにきたくてもこられない人たちもいます。埼玉のある高齢者介護施設へ訪問コンサートを行っていて、日本の古くからある歌を歌うと涙を流して喜んでいただけます。歌の力ってとても強い。1分間で感動させられるのは、歌の力に勝るものってないんじゃないかしら。
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4月1日の神奈川県民ホールでのコンサートは、音楽家の青島広志さんをはじめ、いろいろな方が参加されている大所帯なライブですね。開催のきっかけは何だったのですか? |
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元々、作曲家の青島広志さんとは私の歌の師匠を通じて知り合いでした。ある時、青島さんのコンサートのチケットを友人から譲ってもらい伺ったんですね。それで現在の私の活動などを話してから、「一度、教えにきていただけませんか?」と軽く依頼したら、翌日には「ところでいつにしますか?」と快諾いただけて。 |
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とんとん拍子に話が進んだわけですね。コンサートではどんな内容の歌を? |
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「日本の唱歌」を青島さんが「12ヵ月」に分けて編曲、トークを挟みながら歌います。今の時代、日本の歌を聞く機会が減ってきていますし、日本語がきちんと話せていない。例えば日本歌曲では発音のルールがあります。「し」を「しぃー」と言ってはダメなの。「し」は「しっ」と抜けないとね。 |
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お話しする声と歌う声が違うのでびっくりしますね(笑)。ところで幼児期に歌うことってやはり大切なんでしょうか。 |
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どうして歌や音楽が必要かというと、言葉では通じることの難しい心の部分、伝えきれない部分を音楽を通して伝えることができる。人格形成のうえでとても重要な幼児期に不可欠な、大切なプログラムです。幼児期って忙しい毎日だから、あれ?って気づくと既に終わっているものなんですよね。年齢に応じたリトミックがあって、基本をおさえるとキライにならず、自信になります。音楽はハートの問題なんです。 |
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ご家庭での練習時間なんかもやはり必要なのでは?ご家族の理解などは? |
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仕事は家に持ち込まないんです(笑)。夫は女性が仕事をもつことは賛成。でもプロとしてやる以上、仕事を放棄してまで見にきたりはしない主義。でも、上の子二人は裏方を手伝ってくれたり、いつもバックアップしてくれるので。家で支えてくれる人、外で手伝ってくれる人、調和のとれた素敵なファミリーです(笑)。 |
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共通の話題をもたないことも円満の秘訣ですね(笑)。では、これからどんなことをされていきたいですか |
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日本の魅力を伝える歌を輸出したいですね。日本人にしか表現できない「日本歌曲」や「日本のオペラ」がたくさんあります。例えば「さくらさくら」はよく外国の方からリクエストされたり、日本の着物を着て歌ってほしいとか言われます。
基本は、家族がいて、子どもがいてという生活を大切にしたい。でも、コンサートはたくさんの出演者がいると団結できて楽しい。今後は、CDアルバムを制作したいですね。日ごろ忘れてしまいがちな日本の素晴らしさを正しく、若い人、子どもたちに伝えていく「継承コーディネーター」という仕事が私に与えられた使命かな、と。 |
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ありがとうございました。
志村さんは歌にかける情熱もさることながら、たくさんの人をまとめて楽しませる指導者としての魅力もたっぷりです。物腰すべてに余裕を感じるのは決して年の功といったものだけではなさそう。こんなにおもしろい人の元には、おもしろい方々が集っているのに違いありません。そんなパワーを感じる皆さんがどんな音楽、歌で楽しませてくれるのか??
期待しています。4月1日のコンサートは私も伺いますよ〜!
◆青島広志と共に 日本歌曲・みんなのコンサート ソプラノ 志村紀美江
2008年4月1日(火)
神奈川県民ホール 小ホール 開場17:30 開演18:00
会場までのアクセスはこちら
入場料2500円(全席自由・税込・三歳以上の入場可)
※膝上無料、席を必要とするお子さまの場合は有料
《コンサートチケット予約・購入について》
神奈川県民ホールチケットセンター 045-662-8866 (インタネットでのお申し込みは無)
※お席残りわずかとなっています!お急ぎください
《お問い合わせ》 潟Vムラ楽器/小杉さん TEL.045-833-2516
FAX.045-833-2518 |
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