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【KAKERUインタビュー No.40】
家族をもっても音楽家として活動される素晴らしい方々をマザールでは応援しています。今回ご紹介するのは、マザールの本拠地である横浜市在住のオペラ歌手。既に成人されたお二人のお子さんの下に、小学2年生(今年度から)の息子さんの三人のお母さん。なんと40路を過ぎてから末子をご出産されたとか。そのパワーはスゴイものがあります。そして何より日本の古きよき歌を通じて、心を通わす活動を地元の方々と地道に続けてこられた愛情豊かなお人柄。ほとんどがボランティアの活動であるにも関わらず、あるときはコーラスグループを指導し、一方では幼児たちにリトミックやピアノを教え、また一方ではソプラノ歌手として練習に励むという、超パワフルな志村さん。4月1日に開催するコンサートの協賛スポンサーも、ご自身で営業もされ、たくさんの企業に協賛についてもらえるだけの営業力もお持ちです。はてさて、そのエネルギーの源とは?! これからまだ出産希望の私としては、興味津々でお話しをうかがってきました。
志村紀美江・オペラ歌手 志村紀美江【Kimie Shimura】
ソプラノ歌手

栃木県小山市生まれ。埼玉県大宮市を経て、横浜市在住。武蔵野音楽大学卒業後、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学にて短期研修、リタ・シュトライヒに師事。その後、埼玉県立不動岡高等学校で音楽講師、ヴォイストレーナーをする傍ら、埼玉オペラ協会正会員として数々のオペラ・ミュージカルなどに出演。埼玉会館における「世界の歌曲の夕べ」、彩の国さいたま芸術劇場における「心を癒すコンサート」にも出演。声楽を中村邦子、戸田敏子、林ひろみ、志村洋子、各氏に師事。現在は、女声合唱「萌木の会」、「愛隣・ミューズ」等の指導・指揮をする傍ら、福祉施設等に歌の慰問をし、音楽を通して沢山の人々と“心の交流・ふれあい”を続けている。幼児期・児童期における、童謡・唱歌の重要性を以前から提唱し、近年は「幼稚園児向けコンサート」「保護者向けコンサート」等を通して、「日本歌曲」の普及・指揮に日々努めている。
家族は、歯科医の夫、成人した長女と長男、次男(7才)、祖父母。
 
志村さんはオペラ歌手としてご自身も歌われる一方で、コーラスの指導も熱心にされていらっしゃいますよね。メディアはあまり取り上げませんが、こういう地道な活動のおかげで音楽を身近に感じられたり、人の輪が広がったり。継続は力なりですね。
 

私は結婚を機に主婦として生きる道もある、家族を宝にすることもありなのでは……と考えて一旦はソプラノ歌手の道を辞めました。オペラって、そりゃあプロが歌えば素晴らしいものにはなりますが、練習時間は夜間が多く、期間も長くて子育て中は無理。
一方で、一年間指導した子どもたちが練習して頑張って歌うことは、違う意味で素晴らしいんです。 長女がミュージカル「アニー」出演後、CDデビューをきっかけに私の音楽プロデュース人生がムクムクと復活しました。自ら歌う幸せから、子どもや大人の可能性を引き出す「ワザ師」に変貌。80歳のおばあちゃまから幼稚園の子どもたちまで、これまで教えてきた人数は延べ2000人を超えます。

 
高校の音楽教師としても教壇に立たれていらしたとか。
 
はい。友人が教師志望で付き添いで教育委員会に行った時、「一緒にきたなら、書類くらい出せば?」と促されて提出したら、運よく合格しまして。それで、2つの高校で5〜6年間教えていました。一つはスナオな生徒が多い学校でしたが、もう一つは手のつけようがないくらい荒れていた学校で。音楽の授業なんて基本的に受ける気もなくて。いかにして参加させるか?楽しんでもらえるか?当時は、彼らの気をひくのに必死でした。考えてみれば、結構危ない立場にいたかもしれませんけれど。
 
俗にいう「ヤンキーな高校生」だったわけですね?
 
そうです(笑)。でもね、気持ちは皆いい子ばかりで、歌うことだけでなくピアノを弾けるように指導して、最後には全員バイエルの青が終了できるくらい、弾けるようになったんですよ。こおおおんな(リーゼント)髪の毛している兄ちゃんが、鍵盤を必死になって弾くの。でも、音がつながってくると「できた!」って喜びがすごいんです。
 
音楽の力は、そういう意味で心をスナオにさせますね。更生させるといったら言い過ぎかもしれませんけれど。
 

コンサートにきたくてもこられない人たちもいます。埼玉のある高齢者介護施設へ訪問コンサートを行っていて、日本の古くからある歌を歌うと涙を流して喜んでいただけます。歌の力ってとても強い。1分間で感動させられるのは、歌の力に勝るものってないんじゃないかしら。

 
4月1日の神奈川県民ホールでのコンサートは、音楽家の青島広志さんをはじめ、いろいろな方が参加されている大所帯なライブですね。開催のきっかけは何だったのですか?
 
元々、作曲家の青島広志さんとは私の歌の師匠を通じて知り合いでした。ある時、青島さんのコンサートのチケットを友人から譲ってもらい伺ったんですね。それで現在の私の活動などを話してから、「一度、教えにきていただけませんか?」と軽く依頼したら、翌日には「ところでいつにしますか?」と快諾いただけて。
 
とんとん拍子に話が進んだわけですね。コンサートではどんな内容の歌を?
 
「日本の唱歌」を青島さんが「12ヵ月」に分けて編曲、トークを挟みながら歌います。今の時代、日本の歌を聞く機会が減ってきていますし、日本語がきちんと話せていない。例えば日本歌曲では発音のルールがあります。「し」を「しぃー」と言ってはダメなの。「し」は「しっ」と抜けないとね。
 
お話しする声と歌う声が違うのでびっくりしますね(笑)。ところで幼児期に歌うことってやはり大切なんでしょうか。
 
どうして歌や音楽が必要かというと、言葉では通じることの難しい心の部分、伝えきれない部分を音楽を通して伝えることができる。人格形成のうえでとても重要な幼児期に不可欠な、大切なプログラムです。幼児期って忙しい毎日だから、あれ?って気づくと既に終わっているものなんですよね。年齢に応じたリトミックがあって、基本をおさえるとキライにならず、自信になります。音楽はハートの問題なんです。
 
ご家庭での練習時間なんかもやはり必要なのでは?ご家族の理解などは?
 
仕事は家に持ち込まないんです(笑)。夫は女性が仕事をもつことは賛成。でもプロとしてやる以上、仕事を放棄してまで見にきたりはしない主義。でも、上の子二人は裏方を手伝ってくれたり、いつもバックアップしてくれるので。家で支えてくれる人、外で手伝ってくれる人、調和のとれた素敵なファミリーです(笑)。
 
共通の話題をもたないことも円満の秘訣ですね(笑)。では、これからどんなことをされていきたいですか
 
日本の魅力を伝える歌を輸出したいですね。日本人にしか表現できない「日本歌曲」や「日本のオペラ」がたくさんあります。例えば「さくらさくら」はよく外国の方からリクエストされたり、日本の着物を着て歌ってほしいとか言われます。
基本は、家族がいて、子どもがいてという生活を大切にしたい。でも、コンサートはたくさんの出演者がいると団結できて楽しい。今後は、CDアルバムを制作したいですね。日ごろ忘れてしまいがちな日本の素晴らしさを正しく、若い人、子どもたちに伝えていく「継承コーディネーター」という仕事が私に与えられた使命かな、と。
 
ありがとうございました。
志村さんは歌にかける情熱もさることながら、たくさんの人をまとめて楽しませる指導者としての魅力もたっぷりです。物腰すべてに余裕を感じるのは決して年の功といったものだけではなさそう。こんなにおもしろい人の元には、おもしろい方々が集っているのに違いありません。そんなパワーを感じる皆さんがどんな音楽、歌で楽しませてくれるのか?? 期待しています。4月1日のコンサートは私も伺いますよ〜!

◆青島広志と共に 日本歌曲・みんなのコンサート ソプラノ 志村紀美江
2008年4月1日(火)
神奈川県民ホール 小ホール 開場17:30 開演18:00

会場までのアクセスはこちら
入場料2500円(全席自由・税込・三歳以上の入場可)
※膝上無料、席を必要とするお子さまの場合は有料

《コンサートチケット予約・購入について》
神奈川県民ホールチケットセンター 045-662-8866 (インタネットでのお申し込みは無)
※お席残りわずかとなっています!お急ぎください

《お問い合わせ》 潟Vムラ楽器/小杉さん TEL.045-833-2516 FAX.045-833-2518
 

青島広志さん解説、伴奏による「唱歌の12ヵ月」全曲。懐かしい歌の数々に、心がほんわか癒されます

志村紀美江さんのお写真。雰囲気が違うので、韓国の女優さんかと思いました(笑)

青島広志さんは作曲家として、指揮者、ピアニストとして、司会、イラストレーターもこなすマルチタレントぶりは有名です

ピアニストの田中克己さんは、実は志村さんが教鞭をとった高校に通う生徒さんでした。いまや立派なプロとなり共演されます

「STILL IN THE LIGHT」
帰国後毎年開催のリサイタル・ライブ音源の中から、特に思い出深い曲をピックアップして収録。ヴァイオリン/伊藤亮太郎 チェロ/平田昌平 と共演

田中さんの公式サイトからお申し込みいただいた場合、 定価3,000円のところを2,000円に割引。お申し込みはこちらから

12年前のコンサート。この当時から多くの仲間を率いてコンサートを楽しむことに徹していた

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