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今回立ち上げたNPO法人Fathering
Japanはギッシリな内容ですね。まったく知らない人のために簡単に概要を教えてください。 |
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今の時代、父親不在といわれているでしょう。会社に縛られていて家に帰れないし、世代的に偏差値や受験というものさし社会でずっときているから勝ち組・負け組思想も強い。奈良の進学校の生徒が、医師の父に反抗できないまま家族を殺めてしまった事件なんか象徴的ですが、マニュアル的な父親を提示したいわけじゃない。父親も色々なロールモデルがあるというのを見せていきたいんですよ。 |
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ロールモデルとしての父親=仲間を増やしていくということですか?
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そう。ぼくは常々いっていることに、「子どもができたらOSを入れ替えろ」と。パソコンも使用目的によってソフトを増やしたりして使いこなせるよう必要に応じてバージョンアップしますよね。人間、特に男は意識の面からそうしていかないとダメだと思う。そのOS入れ替え期に必要な情報をファザーリングで提供していきたいなと。
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お母さん向けの子育て情報は充実していますが、父親は「積極的なお父さん」しか、そうした情報をつかめていないという現状がありますね。 |
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「積極的な父親の存在」を社会現象にしていくことが必要。そのために例えば、もうすぐ父親になる人を対象に検定試験を行ってみるという手もある。子どもを育てる上で知っておくべき問題、離乳食の進め方みたいな初級実践から、クレイマークレイマーを演じた俳優の名前は?みたいな文化的な要素も。あくまでも、よい父親、悪い父親を選別するものではなく、ユーモアを交えて父親の意識改革をしていきたい。
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父親向けのアンケートで子育て中に働きやすい会社のベスト10が発表され、一流企業が目白押しで。むしろ中小以下、低賃金で働かざるを得ない家庭のお父さんを取り込まないと変わらないのでは? |
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世の中の制度は大企業から始まっている。中小は休むのも憚られるので、制度のフレーム作りをトップから取り組んでほしい。経営者の意識の問題もありますが、社員一人ひとりの意識にも掛かっている。自分の会社のことなのに、知ろうともせず、あきらめている人もいるでしょう。ワーカーホリックの先輩しか見てきていないと、それがカッコいいことだと思ってしまう。そうじゃないよ、と伝えたいわけです。
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安藤さんも会社員で働く一方、こうしてNPOを立ちあげたり、他の活動もたくさんやっていますでしょ?子どもができても何も変わらず働き続けているお父さんたちにどんなメッセージを送りたいですか。 |
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ぼくもベンチャーで働いていた頃、プロジェクトの立ち上げ時は特に忙しくて大変だったから、まずは職場と住居を15分圏内にした。だからそんな頃でも、子どもと絵本を読んだりしていた。制度やルールは整ったとしてもやらねばならないときは泣き言いわずにやるしかないだろうと思う。ぐっと歯をくいしばってね。でも、会社の肩書きだけで生きるようなことを選ばないでほしい。そういう体験をもっと他でいかせるようにしてほしい。
今、こういう活動を始めて、大学からの特別講座を依頼されたりして、思わぬ展開になっています。20歳前後の学生相手に、新しい家族感みたいなことを話すの。要は、働く前からそういう思想を植えつけることって大事なんですよ。
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将来的に社会がどうなることを描いていますか? |
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会社で働くだけでなく学校や地域に参加する父親が当たり前になること。ぼくら昭和30年代生まれの男って、こういう思想のない人が多いけれど、だんだん賛同者が増えて、団塊ジュニア世代も参加してくれるようになった。ぼくらの活動も経済産業省が後援してくれることになって、お母さん向けの子育て支援とは違う期待がある。潮流を感じています。
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一人親をはじめ、お父さんの役目をして頑張っているお母さんは多い。二度目のお父さんと家族をやっている人もいます。そんな人たちも支える活動になりますか。
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父親がいやすい社会は母親にもやさしい。スウェーデンでは子育ての環境や制度が整っていますけれど、ちゃんと結果がでていますよ。日本はそこから20年立ち遅れています。収入制限とか子どもの人数とかでなく、一人ひとりの子に同じように支援していくべきでしょう。行政とのタイアップで提案していきたい。
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私たちより一世代若いお母さんを見ていると、子どもを産んで親になっても同じ愛情をもって接しているかというと温度差がある。言葉もスキンシップも少なくなっているな〜と感じることがあります。 |
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今の子どもたちで「おままごと」で遊ぶ時、一番人気のある役割って、何だと思いますか?お父さんでも、お母さんでも、子どもや赤ちゃんでもない。人気なのは「ペット」なんですよ。何もしないでも餌を与えてもらえるし、かわいがってもらえる。ああ、ラクチン。危ないと思いませんか?子どもは大人が気づかないところで、よく観察している。家族がロールモデルなわけです。親が人生を楽しんでいるかどうかをよく見ている。
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受け身でいることに安住している人は多いですよね。ビックリするほど正解志向が強かったり。偏差値教育の歪みが親になって出ているような(笑)。 |
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横のつながりを求めない人が多いよね。ぼくらが絵本のお話し会をしても、子どもを膝に乗せて絵本をじっとテレビのように見つめて表情が変わらない人がいる。しまいには「どんな絵本がお薦めか教えてくれ」と。ぼくらに聞く前に、まずはそこに集まった人とつながりをもとうとしてほしい。それが自然だと思いませんか?
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続々とこれからもイベントが目白押しですね。 |
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一方通行でしゃべるような講演会で「ああ、きょうの話を聞きにきてよかった」なんて感想で帰らせないようにします。来たからには、誰もが汗をかくことが大切。コミュニケーションをちゃんと取ってほしいから、サプライズ企画も用意しています。
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ありがとうございました!今日は特に熱い風を感じました(笑)。
性別や立場の違いはあれど、話せば話すほど安藤さんの考えには共感することが多くて、酒席ではいつも熱い抱擁の代わりに、白熱の議論を交わします(笑)。キレイごとを言う役人や著名人はたくさんいますが、そんな時代に風穴をあけてくれそうな勢いを感じます。何よりも楽しんでNPO活動もやっている、その気合いが頼もしいじゃありませんか。父親の復権みたいな陳腐な発想に留まらず、新たな時代の父親の生きかたを示してください。軟弱な男親の目を覚ます起爆剤となってくれますように。近々には、以下のようなイベントの予定も。ぜひご参加を!
テーマ
「ワーク・ライフバランスセミナー
〜これからの戦略は「仕事」も「家庭」も
個人の多様性を生かした社会を目指してここから始まる社会の変革〜」
■主催:三菱信託UFJ銀行株式会社・株式会社ワーク・ライフバランス
■日時:6月13日(水)16:30〜19:00
■場所:三菱UFJ信託銀行新青山ビル
■定員:150名
■内容:ワーク・ライフバランスに取り組んでいる先進企業のディスカッションや、
男性の育児に取り組んでいるNPO団体からのレポートを通じ、 ワーク・ライフバランスについて考えて頂ける内容となっております。
■対象:ワーク・ライフバランスに関心をお持ちの方、ダイバーシティーに興味をお持ちの方、
企業力をアップさせたい企業の方、休業者の対応に悩んでいる企業の方、
能力を十分に発揮したい方、多様性を生かすことができる社会作りをしたい方など、学生の方も大歓迎です。
■参加申し込み方法: 「1.お名前(フリガナ)・2.ご所属(企業・部署名等)・3.メールアドレス・
4.本セミナーをご存知になったきっかけ・5.取り組んでいること、抱えている課題等・6.一言」
をご記入の上、6月1日(金)までに下記までお送りください。
◇セミナー受付のメールアドレス→seminar@work-life-b.com
◇株式会社ワーク・ライフバランス→http://www.work-life-b.com/
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