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【KAKERUインタビュー No.15】
ミステリオには、昨夏のサマーキャンプで愚息スギオがお世話になりました。取り組みは素晴らしい〜!と思いながら、日本の公立小学校に通うスギオがどれだけ皆とコミュニケーションでき、楽しめるか?実のところ心配でしたが、そんなのは親の取り越し苦労に過ぎませんでした。7泊8日のロング(日本では長くても海外では短め)ステイ・キャンプを存分に謳歌し、「夏休みの思い出アルバム」まで制作、すっかり自信をつけたスギオ。のぞみさんには会うたび、たくさんの感動をいただいて、いうなれば私の運命の人!今夏のキャンプは8月4日〜11日に決定。それに向けて、改めてお話をうかがってみました。
寺尾のぞみ【Nozomi Terao】 ミステリオ 主宰

http://www.msterio.com
東京生まれ。ニューヨーク・マンハッタン在住。
立教女学院高校3年の1年間、アメリカ・シカゴへ留学。大学卒業後は、アメリカ大使館商務省、フジテレビ制作部、伊藤忠商事アメリカの社長秘書などを経て、ニューヨークに本社を置くモルガンスタンレー証券会社にてエグゼクティブディレクターとして約20年近く勤務、2005年6月退社。NYでは北キャピタルマネージメントのマネージングデイレクターを勤める傍ら数多くのNPO団体の理事も勤めている。
アメリカキャンプ協会メンバー。

毎年のサマーキャンプには夫であるジョシュア・レヴィーン、両親、弟も一緒に参加。 4歳から始めたピアノに力を注ぎ、高校時代はオーケストラとのソロ演奏の経験を持つ。現在はクラシックピアノの即興演奏のほか声楽を勉強中。

 
いつもお世話になってまーす!今日は、根掘り葉掘り、のぞみさんのことをお尋ねしちゃいます。まず、まったく知らない方のために、なぜミステリオをはじめたか?のキッカケを教えてください
 
20年以上アメリカに住んでいたからよけい日本が見え、日本人がとても好きになったの。もっと頑張れ!と思うようになった。「私が社会にできることはなんだろう?」と考えるようになって。 アメリカ人の親しい友人たちに幼少の思い出を尋ねると、彼らの思い出ナンバー1はダントツでサマーキャンプだったのね。なんで?という好奇心から、私もサマーキャンプに行ってみると……。おもしろい!楽しくて、大人も子どももみんなキラキラ輝いていた。で、これだ!と思ったの。 私もこれまでまわりの人からたくさんの愛を注がれてきたから、きっと今の自分があると思ったの。これまでがむしゃらにNYで生活できたのも、人種を越えた大勢の人たちから たくさんの愛を感じてこられたから。そして、2001年夏ミステリオが誕生させました。
 
日本人にとって、サマーキャンプと聞いてもピンとこない人も多いんです。お父さんもお母さんもそういう文化で育ってきていないものですから。でも、ミステリオはそういう日本で素晴らしい活動を展開されていますよね。のぞみさんにとって、ミステリオはどんなふうに表現できます?
 

ミステリオは、あなたとあなたをつなげる場所。あなたと社会をつなげるところ。そしてあなたと世界がつながるところ。 私にとってのミステリオは、大切な家族。毎年夏に出会うキラキラ輝く子どもたち。彼らを愛で育む大人のスタッフたち。どこにいようと、何をしようと、必ず帰ってこられる場所、それがミステリオなんです。

 
実は、私。最初、ミステリオのことをちょっと誤解していた(笑)。富裕層の子どもや、インターの子が集まるキャンプなんじゃないか?日本人一般家庭の子が参加するには、レベルが高すぎるのでは?なんて勝手に思っていました。結局、感動を体験するのにレベルも何もないなって実感しました。夏以外、ニューヨークではどんな取り組みを?
 

NYでは現在、北マネージメントキャピタルという金融系ヘッジファンドの会社のアドミニストレーションに関わったり、NPOの団体の理事やアドバイザリーをいくつか勤めています。その他、日本からいらっしゃるアーチストのプロモーションのお手伝いを空いた時間の合間にしています。 ミステリオのコンセプトに基づいて、人と人をつなげることがもっとできればと。5月の子供の日には、NYで子供の日のイベントを予定しています。この日をファミリーでーとし、ご家族で楽しめる企画を計画中です。

 
イベントを仕込むのが超うまいですよね。もちろん人徳と人脈がおありだからこそですね。日本と違って、アメリカのサマーキャンプ事情はどうでしょう?
 

アメリカのキャンプは大変人気があります。http://www.acacamps.org/
小学校から高校まで90%の子供たちがキャンプの経験があるのが現状です。ひとつには夏休みが長いからなのね。学年の終わりが6月、新学期の始まる9月まで夏休み。実に3ヶ月もあるでしょう?夏休みの過ごし方として、キャンプはなくてはならないものなのね。多くは泊まりのキャンプ(1週間以上)。あまりに長いお休みですから、親も子どもをキャンプに行かせるのが習慣になっているわけです。アメリカやカナダのサマーキャンプの多くは、家族経営。代々ひいお爺さん、ひいお婆さんの時代から今に受け継がれている伝統あるキャンプばかり。実際に自分たちでキャンプ場を持って経営しているところも多くみられます。キャンプの種類は膨大な数、その中から自分の子にあったものを選ぶことも、親にとっては学校を選ぶのと同じくらい大変な作業。日帰りから宿泊が長いもので2カ月というものまでさまざまです。

 
子どもを自立させるには、とにかく親元から何日か離して親子共に距離を置いて、お互いを見つめ直すのも大事ですね。昨夏のキャンプでつくづく実感しましたけれど。アメリカと日本の親子関係の違いって、もしかしたらキャンプが大きい役目を果たしているのかもしれませんね。ところで、日本の子どもたちは変わってきているといわれますが、そうしたことを実感されます?
 

自分で考えて実行してみる力が減ってきている。豊かになったせいか、何でも人がやってくれるという人任せなところが目立ってきているように感じます。ゲームの普及などで、創造性も弱くなっていると思います。これは日本だけの問題ではないけれど。結局のところ、大人の責任のなさから、このような傾向が出てきてしまっているのでしょうね。 子どものためといって、親も何から何までやってあげてしまう。あくまでも比喩ですが、怪我をしないように、目の前の小石まで拾ってあげちゃう。その上、道をほうきで掃いて、きれいにしてあげちゃう。本当は、「大きな石があるよ」と耳元でささやいて、小さい石は自分でなんとかよけらえるように見守ってあげることなのに。自分の通る道をきれいに掃除したり、整えたりするのは、親ではなくて子どもの仕事。遠くで見守ること、忍耐力をもって最後までやらせてみる、という大人が少なくなってきているのね。 子どもたち皆に伝えたいのは、早く大人になろうとしなくていいということ。子どもの時期を十分楽しんでほしい。大人には、子どもがその時期にしかできないこと、感じられることを十分に体験させてあげてほしいですね。

 
私も何だかんだいって、過保護な親だったな〜と反省しました。自戒を込めて、わが子と意図的に離れる時間が必要だと思いますね。「かわいい子には旅させろ」です。サマーキャンプに参加したことのない子ども、子どもと離れたことのない親へメッセージをお願いします。
 

心配なのは当然のこと。ですからどんなキャンプに行かせることになっても、心配ごとは前もって具体的に主催者側にたくさん質問なさるといいでしょう。納得いくまで、必ず聞かれたらいいと思いますよ。 お子さんの大好きなもの、普段これがあるから寝られる、安心する、というものを必ず持たせてあげてください。(ゲームや携帯以外) あとは、出発前にできるだけ「お母さんやお父さんも行ってみたいなあ」と楽しそうな期待感を伝えて、お子さんの不安を少しでもやわらげるような会話を自然にしてあげてください。明日からいよいよ、とぎりぎりになってさびしさを逆上するような言葉はしないであげてほしいですね。ただでさえ、本人はものすごく不安なものですから。手紙を渡してあげるとか、家族の写真を持たせてあげるとか。キャンプ中に手紙やはがきを書いてね、ということも大切だと思います。

 
心細かったかもしれないけれど、出発のバスに乗り込む時、握手しようと手を差し出したら、スギオは、パァ〜〜っとバスの中に逃げていきました。はがきは2枚くれた。すっごく汚い字でしたけど(笑)。昨夏のミステリオキャンプでよかったこと。今年はさらにこうしたいと思っていることとは?
 

昨年は、初めて大自然の中、農場でのキャンプでした。今年も同じところでの開催になります。やはりキャンプは、全く普段の生活からかけ離れた環境におくことが大切。自然の中の風の爽やかさ、牛がいて少し臭いがしても、虫がたくさんいても、これが自然なんだ!と言えることがよかった。何もないことの素晴らしさを感じることができてよかった。宿舎が皆くっついていたので、何かあったときにすぐに対応できた点もよかったと思います。 今年も自然体験、そして自然の中でみんなで作り上げるものを考えています。そして、地球について、みんなで考えてみようと。一人ひとりが地球人なんだぞ、という課題について話し合いたいと思っています。

 
すごく楽しみです!キャンプの他、これからのミステリオでどんな活動をしたいと考えていますか。
 

人と人、人と社会、人と世界をもっともっとつなげていきたい。 人として大切なこと、地球人としてやらなければいけないことは、永遠に続きます。身近なことから始める、その身近なことが何なのか?について、まず私自身にできることを一つひとつやっていきたい。NYに住んでいる時間のほうが多いので、NYでもう少しお子さんの為のプログラムを広げていきたいと考えています。日本からいらしたお母さんとお子さんたちをNYの社会にもっとつなげられるようなテレビ番組や新しいメデイアを通して何かできないかと考えてます。

 
ますますワクワクしますね。スギオ連れで12年ぶりにNYへ行きたいです。では、最後にのぞみさんの信条を教えてください。
 

相田みつをさんのお書きになったもので、私の一番好きなことば、 『夢はでっかく根は深く。』これが信条かな。そして『絶対に最後まであきらめないこと。』

 
どうもありがとうございました。会うたびにいつも元気をもらえて、感動的なフレーズや体験をお話ししてくださるのぞみさん。この華奢な体のどこにエネルギーがあるの?と思うほど、本当に素晴らしいパワーをお持ちです。2/18の東京マラソンは、旦那さんであるジョシュさんと一緒に完走されました! 「教育再生なんたら会議」に小難しいこと言ってる大人が集まって時間とお金を掛けるくらいなら、もっとサマーキャンプを広まるようにしたらどう?なんて個人的には思いますけど〜。
 

 

小学1年生から参加可能

何かが変わる1週間!

ボランティアのお兄さんと交流するのも楽しい

眠る前に、絵本読み聞かせの時間がある

那須農場の朝は寒い

習字の時間もある

アートのクラスを受講したスギオ

家族にキャンプ中、はがきでお便りをくれる

毎日楽しいパーティー!

太鼓のクラスもある

農場の牛と交流。去年は子牛の誕生シーンに立ち会えた

 
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