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【KAKERUインタビュー No.9】
クラシック音楽をもっと気軽に楽しんでもらおうと、5年前から取り組んでいる『音の小箱』シリーズ。ピアニストの加納文子さん、ヴィオラ奏者の堀あゆみさんのお二人は、芸大附属の高等学校時代からの同級生。結婚・出産を経てからもプロの演奏家として地道に音楽活動を続けてきた同士。12月23日(土・祝)に青山ウィメンズ・ホールで開催することになった『家族に贈るクラシックコンサート 〜思い出を灯すメロディー〜」は、祖父母、夫婦、親子、兄弟姉妹……とさまざまな年代の家族と一緒に聞いて欲しい音楽イベント。育児の傍らで、どのように演奏活動を続けてこられたか、コンサートに託す想いなどをお二人に聞いてみました。
加納文子【 Fumiko Knoh】 ピアニスト

東京藝術大学附属音楽高校を経て、同大学卒、同大学院修了。在学中より同大学オーケストラと協演。 NHK−FM新人演奏会、東京芸大定期演奏会に協奏曲のソリストとして出演など。ピアノを下村和子、井口秋子、小林仁、伊達純、チェンバロを古賀裕子の各氏に師事。
現在は『音の小箱』シリーズにて「小さなスペースで身近に音楽を」の主旨でコンサートを続け好評を得ているほか、日本各地においてソロ、 2台ピアノ、その他アンサンブル、合唱伴奏など幅広く演奏活動を行っている。

堀あゆみ【 Ayumi Hori】 ヴィオラ奏者

東京藝術大学附属音楽高校を経て、同大学音楽学部卒、同大学院修了。在学中より東京交響楽団に副主席として在籍。 1985年より2年間ウィーンに留学。帰国後、東京芸大弦楽科助手を6年間務める。浅妻文樹、ルドルフ・シュトレンクの両氏に師事。
現在は東京ハルモニア室内オーケストラに在籍。『音の小箱』シリーズにて「小さなスペースで身近に音楽を」の主旨でコンサートを続け好評を得ているほか、ソロ、室内楽の演奏活動を行っている。

 
お二人の出会いは高校時代ということで。芸大附属の高等学校(音楽学校)は極めて優秀でないと合格できないと思いますが、クラス全員が音楽家志望なわけですよね?
 
加納「一つしかクラスはなかったのですが、皆、専門の楽器がありまして。ピアノやバイオリンはそれぞれ10人くらい。ヴィオラは1人だけでしたね。私の場合は、大阪から上京して受験しました。合格してから、父の転勤で家族が東京に引越してきたんですよ。うちは母がなんとなく言い始めました。『こんな学校があるけどお父さんが東京に転勤になるから受けてみる?』って。」

「受験のきっかけは、習っていた指導者にこんな学校があるから受けてみる?といわれて。音楽学校は一般受験より試験が早く 1月でしたので、駄目なら普通の高校受験をすればいいわ、とのんびりムードでした。試験は、実技が2回。その後、英語と国語の学科試験……だったと思います。実技が緊張するので、学科の時は脱力していたような(笑)。芸大を選ぶことで、気持ちの半分以上は演奏家としてやっていくつもりの人が集まっていますね。現在はオーケストラに所属する方、大学の教授や個人的に教える教室の先生など、さまざまですね」
 

高校、大学、大学院と9年間ご同窓で、その後、ご結婚。家庭をもってから練習などもされてきたわけですよね?旦那さんは協力的でしたか?

 

加納「24才で結婚して2年後に長男(現在21)を出産。その後、長女(18)、次女(15)と産んで育てる間は、練習らしい練習もできませんでした。コンサートもお休み。夫は技術職の人ですが、私が音楽を続けることに理解はあります。趣味でロックをやっていますが、私のやる音楽にはあまり関心はないようですね。コンサートの録音など協力してくれますが、始まると聴かずにどこかに行ってしまいますし (笑)。家では、夜ご飯を食べ終わってからピアノに向かうことが多いです。練習後にキッチンに戻ると、全部やりかけの家事が残っていて、あ〜あ、いやんなっちゃうな〜、と思うのですが……(笑)それでも、そういうお母さんを見守ってくれてありがとう、という感じです」

「私は加納さんより少し後に、結婚して2人男の子(長男・13歳、次男・7歳)をもうけました。夫は、若い頃からロック好きで、我が家の音楽室にある大量の LPとCDはほとんど主人のです(笑)。音楽好きなのでしょうし、何しろ人と会って話すのが好きなものですから、コンサートにもよく子連れで聴きにきてくれます。そういう意味では、協力的ですね。練習は、子どもたちが学校に行っている間に!と思うのですが、何しろ趣味のビーズを広げると、もうそっちが気になって(笑)」

 
お二人とも子育ての一番大変な時代は、どのように演奏活動をされていましたか?そもそもコンサートを再開するキッカケとなったことというのは何でしょう?
 

加納「3人の子どもを育てる約10年間は小休止でしたが、一番下の子が小学校に入学した頃、ちょうどコンサートをしませんかとお誘いがありまして。それがキッカケとなって外へ向けて仕事をするようになりました。10年間休んでいたので、カルチャーショックもありましたけれどね(笑)。一番下の子には、ピアノを開けて練習しようとすると『やだやだ〜!』と大泣きされたこともあります。今では笑い話ですけれど」

「私は細々とですが、子どもが産まれてからも実家に預けて演奏活動を続けてきました。今でも弾いている東京ハルモニア 室内オーケストラは、こちらの都合も受け入れてくれて、融通をきかせてくれたので、そのおかげということもありますが……」

 
格闘があったわけですね。今、演奏活動で大切にされていることは何でしょうか?
 

「自分たちがその時本当にやりたいものをやる、ということでしょうか。自分たちも本気で楽しんでいることが、皆様と一緒になって感動するということだと思いますので」

加納「今だから取り上げたい、と思うものをその都度やっていくという感じです」

 
お子さんに対するお二人の教育方針を教えてください。ちなみに、お子さんは音楽をされていますか?
 

「一度決めたことはやり通すこと。簡単に放り出してやめたりしないことですね。長男は剣道とトランペットを、次男はバイオリンを習っています」

加納「自分の頭で考え、表現し、生きていくということ。長男は趣味でチェロ、長女は私と同じ芸大に入学してフルート奏者として歩んでゆくようです。次女はバイオリンを習っています」

 
やはり DNAなのでしょうね。好きなことというのは、教え込んでどうなることではないと思いますし。ところでお子さんはお母さんがこの職業をしていることをどう受け止めていらっしゃるのでしょう?
 

「生まれたときから、演奏を身近に感じてきたわけですので、取り立てて特別なことはないと思います。クラシックは良い効果をもたらす、とか色々説がありますが、長男に『お母さんクラシック音楽弾いているのに、ちっとも怒りんぼ治らないよね』と言われまして(笑)。練習では、だめなんだってば!と」

加納「楽器の値段もバカにならないのですが、私自身が好きなものに投資するのは惜しくない気がして楽しんで与えてきましたね」

 
クラシックの効能について、さまざまな説があるようです。それについてはどうお考えですか?
 
加納「その人なりの楽しみ方、受け止め方でよいものに接していけばいい。聴くとすぐこうなります、という即効性を期待して聞くものでもない気がしますね」
 
最後に今度のクリスマスイヴイヴ・コンサートへ向けてメッセージをお願いします。
 

加納「何かが心に残って、それが翌日からの元気の素になるようなコンサートを、これからも開いてゆきたいと思っています。ぜひいらしてください」

「形のある物ではなく、クラシック音楽という時間と空間のプレゼントというのも素敵だと思います。ぜひ、ご家族でお運びください」

 
ありがとうございました。プロの演奏家になるためには、精神的にも肉体的にも強くないとなれない……と聞いたことがあったので、お二人はどう乗り越えてこられたんだろう?と興味深々でした。でも、とても自然体。ガチガチなルールはつくらず、あくまでも好きなものをずっと続けていきたいという気持ちがあるからこそ、多くの人に感動を与えられるのでしょう。今年のクリスマスイヴイヴは、ぜひ大切な人と青山のコンサート会場へお越しください。
 
 
●堀あゆみさんが出演されているオーケストラのコンサート
2006年10月8日(日)午後2時半 東京文化会館小ホール
東京ハルモニア室内オーケストラ 第33回定期演奏会
¥4000<指定席>
チケット予約:東京文化会館チケットサービス
・電話予約03(5815)5452 月〜土10:00〜20:00  日・祝10:00〜18:00
・インターネット予約 http://www.tbk-ts.com

●加納文子さん、堀あゆみさんの他、芸大ご同窓生がもう二人出演します!!
2006年10月16日(月)午後6時半開場 7時開演
ピアノ四重奏
出演:加納文子(ピアノ)・堀内麻貴(ヴァイオリン)・堀あゆみ(ヴィオラ)・花崎薫(チェロ)
¥3000<全自由席>
¥2000<学 生>※当日学生証をお持ちください
チケットお申し込み・お問い合わせ
Milky cafe´チケットサービス
HP http://www.milky-cafe.com/
メール ticket@milky-cafe.com
FAX:03-5310-1605 TEL:090-6012-9232(かさぎ)

●芸術の秋に箱根までいってみませんか?
2006年11月11日(土)午後7時
2006年11月12日(日)午後2時
箱根町町制50周年 第23回「箱根の開き」音楽祭
東京ハルモニア室内オーケストラ
会場:箱根仙石原文化センター
前売券:各日とも大人2000円 小中学生1000円(全席自由)
当日券:各日とも大人3000円 小中学生2000円(全席自由)
電話予約 チケットぴあ 0570-02-9990
お問い合わせ 090-1260-2934
HP http://tokyoharumonia.fc2web.com


 
 
 
 
 
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